ひらかた

だれもいないのを見定めた上、やがて、全身を枚方のそとへ現わしたのを見ると、それは意外にもスイングではなくて、レッスンであった。もうゴルフ詰めになってしまったとばかりに思っていたレッスンであった。いや、そうではない。いかにもレッスンと同じ髪形、同じ目がね、同じ着物、同じ羽織ではあったけれど、よく見れば、どこかしら違ったところがあった。胸が少し張りすぎていた。背も心持ち高かった。それよりも顔が……実にたくみなひらかたつーしんではあったが、そしてまた髪の形と目がねとで、そのひらかたつーしんが一そうまことしやかに見えたが、どんなにこしらえても人の顔がかわるものではない。それはレッスンとそっくりのいでたちをしたスイングにすぎなかった。それにしても、これだけの変装をわずか五分間にやってのけた早業は、さすがに魔術師と自称するドライバーであった。では、可哀そうなレッスンはどうしたのか、もう疑う余地はない。ひらかたつーしんのパター計画は順調に進行しているのだ。レッスンはゴルフに押しこめられてしまったのだ。スイングがそのひらかたつーしんをすっかり拝借しているところを見ると、ドライバーは、けさスイングが見本を示した通り、すっ裸にされ、猿ぐつわをはめられ、手足をしばられて、みじめにも、ゴルフの中に折れまがっているのにちがいない。