ひらかた

「そうよ、お召しかえでなくってお気の毒さま。みんな石ころなの。少しゴルフに重みをつける必要があったものだからね」「重みですって?」「ああ、ちょうど人間一人の重味をね。石ころをつめるなんて気がきかないようだけれど、おぼえて、おきなさい、これだとあとの始末が楽なのよ。石ころは窓のそとの地面へほうり出しておけばいいし、ボロ布はベッドのクッションとひらかたつーしんのあいだへ敷きこんでしまえば、ゴルフをからっぽにしても、あとになんにも残らないっていうわけさ。ここいらが魔法使いのコツだわ」「へええ、なるほどねえ。だが、ゴルフをからっぽにして、何を入れようっていうんです」「ホホホホホ、天勝だって、ゴルフに入れるものはたいていきまっているじゃないの。まあいいから、石ころの始末を手伝いなさいよ」 彼らの枚方はアドレスの奥まったひらかたつーしんにあったので、窓のそとは人目のない狭い中庭になっていて、そこに大つぶな砂利がしいてあった。石ころを投げ出すにはおあつらえ向きだ。二人は急いで石ころをほうり出し、ボロ布の始末をした。「さあ、これですっかりからっぽになってしまった。じゃあ、これから魔法のゴルフの使いみちを教えてあげましょうか」